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あまりに光が眩しいと・・・

管理人のNORIより
久しぶりに何かを書いてみようと思いました。

短編小説にしようと思ったのですが・・・

文章を書き始めたら、久しぶりに面白く書けそうなので、これを続けて書いていけたらと思います。

お時間があれば、しばらくお付き合い頂ければ幸いでございます。





序章

「あまりに光が眩しいと、逆に光を失ってしまうからもしれないから・・・」と君という人が夏の暑い昼間のカフェでそう言った。

これは、君という人が僕に与えた命題で学生の頃からの君という人の、ことある事の口癖のような言葉。

今日も君が注文したのはアイスオレンジコーヒー。

はじめて君とお茶をした大学生の夏、アイスオレンジコーヒーを注文したとき、「え?」と思ったけれど、実際にアイスオレンジコーヒーを飲んでみるとこれが案外と美味しいから驚いたものだ。

君という人は、夏はエアコンの効いた図書館、自宅マンションでずっと本を読んでいるような人だった。

それは学生のあの時からずっと変わっていない。変化を好むわけではないけれども、変化のないものを変化の激しい社会の中で見つける事が好きな人で、風変わりと言えば風変わりな人だった。

けれども、僕はそんな君と話をしている時間を好み週に1度くらいは一緒に昼間のカフェに軽い食事をして会話をするのが、もう数年も続いている。

学生の頃は君という人とあまり話したことはなかった。


1君という人との出会い
2005年に僕は大学2年生だった。その頃の僕は、サークル活動をする事もなく、ひたすら法律の基本書を読んで過ごしていた。その頃は弁護士になりたかったのだ。

2005年に調度法科大学院の制度が出来て、各大学は法科大学院を設置に躍起になっていた。また法曹界もざわめいていた。もちろん法学部に在籍をして司法試験の突破を目指していた人間も、また大学を卒業して司法試験に挑戦をし続けている人間達にも動揺を与えた時期であった。

その頃はまだ弁護士に仕事はギリギリあった。「弁護士になるのなんて辞めておけ」と言われるような時代が来るのはその3年後くらいからだ。

法学部に入学してからというもの、僕はずっと基本書をひたすら読んでいた。ときどき社会思想、経済学の学術書や、西洋哲学の学術書も読んでた。

大抵僕は大学の図書館にいた。講義がない日でも僕は大学の図書館で過ごす事が多かった。そして本を読んで過ごしていた。

図書館の常連というのは、大抵は大学で何か真剣に学術を修めようとしている人が多かった。単位が足りないくて、その補習をするためのレポートなどをまとめている人間もいたけれども、そのような人間は図書館の常連というわけではなく、それが終わればすぐにいなくなってまた顔を見なくなるから、図書館の常連というのは大抵は固定されていた。

大学の図書館での常連というのは顔見知りになったとしても、あまり関わる事はない。

互いにそれぞれの人生を真剣に歩むために、この瞬間に学術に打ち込んでいるのだから。だから、それぞれに他人を気にしている余裕もないし、若しくは、他人が気にならない程に学術に接していたいという人間もたくさんいた。だから、あまり他人の顔を覚える事もなかった。

その図書館の常連としていたのが君という人であったらしい。

僕は君という人も図書館にずっといたなんて事は後から聞かされて知ったくらいだった。

君という人と会ったのは、他愛もない事だった。社会思想史の講義での事だ。20人程度しか学生がいない人気のない講義であったけれども、僕は社会思想の講義が好きだった。

社会思想というのは、「政府の意義」「分業社会」「スミスの「国富論」などを取扱った、言わば社会というものがどのように形成をされているのかという事を説く学術であった。社会学に少しばかり哲学的要素が入ったものと思ってもらえれば分かり易い。

その講義での事、グループに分かれてディスカッションをするというものがあったのだ。その際に教授が適当にわけたグループで一緒になったのだ。

たった、それだけの事なのだけれども、君という人の主張が冷めているというか、現実的というか、でも冷たいわけではないという主張であったのが僕にとっては気持ち良かったのだ。だから、もっと話をしたくて、その考え方を聞きたくて僕から「あの、もっとこう言った話題を喋りたいのですが、ときどき大学構内だけで結構なので、お話して頂きたいのですが・・・」と声を掛けたのだ。

君という人は不思議そうに僕をまっすぐ見つめて、何かに気がついたかのようにはっとして小さな声で「あ...図書館の枯葉のしおり」と言った。

「え?」と僕は君という人の言った事が意味が分からず聞き返した。

「ごめんなさい。いつも図書館にいますよね。私もいつもいて、なんとなく知っていて・・・よく図書館で顔を見る人に勝手にあだ名をつけていたんです。失礼でしたね・・・ごめんなさい」と君という人はそう言って少し気まずそうにした。

「いえいえ。そんな失礼なんて事はないですから。でも、枯れた本のしおりって・・・僕ってそんなに枯れているように見えましたか?」と僕は自分が何か年寄りっぽいのかと心配になって問い返した。

「そういう事ではなくて、なんて言うか、イマドキ珍しいと思って。本をずっと読んでいるから。ふと気がついたときにすごく古い本を書庫から出してきて読んでいるから、なんだか、過去の本に置き忘れされたしおりみたいな人だと思って」と君という人は、説明してくれた。

「なんだか良く分からないけれど・・・多分悪いあだ名ではないという事は理解が出来ました」と僕は軽く微笑んだ。

こうして、君という人との会話がはじまっていく事になる。


そして君が僕に与えた命題「あまりに光が眩しいと、逆に光を失ってしまうからもしれないから・・・



次回へ、つづきます



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tag : あまりに光が眩しいと 思想 哲学 大学 法学 社会思想

2016-06-16 : あまりに光が眩しいと・・・ : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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